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Networking Event

開催趣意

2010年にがん患者リハビリテーション料の算定が開始され、2012年に閣議決定されたがん対策推進基本計画では、リハビリテーションやがん研究が明記されるなど、がん医療は国策として取り組まれてきた経緯がある。5年生存率に代表されるようながんの治療の成績は、新薬や先進医療機器の開発に呼応するように向上してきた。その一方では、治療による後遺症を持ったがんサバイバーも増加の一途をたどっている。言うまでもなく、がんサバイバーは身体機能面だけではなく、精神・心理面、社会・経済面など様々な問題や不安を抱えており、多くの専門職がその専門性を生かして連携し、包括的な介入が必要とされている。そのような社会背景の中、がん理学療法はがん拠点病院を中心として提供されてきた。しかし、近年では入院のみならず、外来や在宅での介入など専門的に係る理学療法士以外でもがんサバイバーに理学療法を提供する場面が増えている。

これまでのがん理学療法カンファレンスでは、啓蒙と教育を中心とした企画が多く催されてきた。がんリハビリテーションの教育は、種々のがん関連学会等でも行われており、がん理学療法の認知度は向上してきたと言える。今後は、さらに専門職としての理学療法士の地位を確立し、よりよい理学療法を提供するためには研究活動にも目を向けていく必要がある。しかし、がんに関する研究でも、とりわけ臨床研究の研究デザインは非常に難しく、研究会などでの報告は観察研究であることが多い。特に、倫理面での配慮や、疾患特性による研究途中での対象者の脱落など、他の疾患以上に配慮を要することもある。そのような中でも、がんにおける理学療法の重要性を高めるためには、質の高い研究が多く報告されることが喫緊の課題と言える。

そこで、今回はがん患者の研究を数多く報告されている講師をお招きし、主に臨床研究方法論の基礎についてご教授いただき、がん理学療法のエビデンス構築の一助となるような研究会を企画した。

第10回がん理学療法カンファレンス

実行委員長 笠原 龍一

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